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電機・電子製品の環境影響評価手法の国際標準化調査専門委員会

電機製品・電子製品の環境影響評価手法の国内外標準化に必要な要因の抽出・提案をします。日本LCA学会と相互協力しながら,電気学会において環境影響評価手法が定着することを目指し,各自の関わる製品・ソリューションについて環境影響評価手法,CO2排出量定量化手法の標準化に必要な要因を抽出し,各産業分野に提案できることを目指します。


研究会のお知らせ

2020-02-11
次世代産業システム研究会(2020年2月21日(金) かながわ県民センター
 〔研究会名〕次世代産業システム研究会(非公開)
 〔開催日〕2020/02/21
 〔テーマ〕SDGs未来都市を目指して〜各組織の実施例
 〔プログラム〕こちらをクリックしてください
2019-03-18,19
知覚情報/次世代産業システム合同研究会(2019年3月18日(月),19日(火) 職業能力開発総合大学校
 〔研究会名〕知覚情報/次世代産業システム合同研究会
 〔開催日〕2018/03/18, 19
 〔テーマ〕人間社会における環境影響・人間支援・画像処理応用技術
 〔プログラム〕こちらをクリックしてください

調査委員会関連資料

 本委員会は,日本LCA学会および産業環境管理協会 (JEMAI)と相互協力しています.
そこで,今回は関連資料をこちらのサイトにて紹介いたします


目的

 本委員会は電機製品・電子製品の環境影響評価手法の国内外標準化動向調査とその活用の仕方を調査し,報告することを目的とする。前身委員会のICT の環境影響評価協同研究委員会では,ICT分野での動向を調査し,講演会等を実施してきたが対象範囲が狭い,環境影響評価手法の概念が電気学会内でまだ定着しておらず議論がまとまりにくい等の課題があった。
 そこで本委員会では対象を電機・電子製品に拡大し,本件に関する国内の先進事例を調査・報告して「環境影響評価手法」とはどういうものかの概念を定着させる。後述の背景で説明するように海外の規格で「環境影響評価手法」を義務付ける動きが出ているため,本委員会メンバーが事前にそれに備えるため「環境影響評価手法」を理解し各自の製品分野での適用を準備することを期待する。

調査期間:2018年10月〜2021年09月(3年間)
委員長:増田 昌彦(富士電機)
幹 事:平塚 利男(MIRAI-LABO)


背景および内外機関における調査活動

 目的で述べたようにIEC(国際電気標準会議)でモータ,インバータ等可変速機器の分野で規格にLCA(Life Cycle Assessment)の実施を義務付ける提案が出ている。「環境影響評価手法」とは広い範囲での呼び方で計算方法を定義した場合はLCAと呼ばれる。表1に示すようにすでに国内外のいろいろな組織において環境影響評価手法やLCAが提案されている。

表1 国内外の環境影響評価手法,LCA関連 規格・基準
組織名(略称)文書名発行日備考
国内 日本LCA学会
(ILCAJ)
温室効果ガス排出量削減貢献量算定
ガイドライン
2015年2月24日第1版
産業環境管理協会
(JEMAI)
JEMAI環境ラベル
統合化に関して
2018年2月-
日本電機工業会
(JEMA)
JEM-TR243
「重電及び産業システム機器ライフ
サイクルCO2排出量評価ガイドライン
2017年12月改正第2版
電子情報技術産業協会
(JEITA)
電子部品LCAガイド2012年3月29日-
国外 国際電気通信連合電気
通信標準化部門
(ITU-T)
ICT製品・ネットワーク・サービスの
環境影響評価手法(L.1410)
2012年3月8日-
国際電気標準会議
(IEC)
IEC62430(JISC9910):
電気・電子製品の環境配慮設計
IEC62430:2009年
JISC9910:2011年
-
ISO 014040ISO 14040(JIS Q14040):
環境マネジメント-ライフサイクル
アセスメント-原則及び枠組み
ISO14040: 2006年
JISQ14040:2010年
第2版
ISO 014044ISO 14044(JIS Q14044):
環境マネジメント-ライフサイクル
アセスメント-要求事項及び指針
ISO14044: 2006年
JISQ14044:2010年
第2版

 電機・電子メーカーは,サスティナブル社会・企業継続,エネルギー・環境戦略の推進,およびInnovativeな製品とサービスの提供の3つの製品開発方針のバランスを調和し,コンプライアンス等の厳しい制約に基づきながら開発と製造を進めている。そこで,電機製品および電子製品の環境影響を評価する手法は,気候変動の要因となるCO2排出量の算定,人間社会環境変化,LCA評価が提案されている。CO2削減貢献量の算定手法は,欧州で開発され,日本で各メーカーや各工業会,大学で個別の発達を遂げている。今後,この手法が製品評価の点で重要になると思われる。CO2排出量の算定,人間社会環境変化,LCA評価による定量的なデータは,従来製品に対して,エネルギー効率を向上させた新製品を導入すること,ソリューションによる物流等の効率化が社会全体の低炭素化へ貢献することの見做し効果の算出に活用される。実際,各企業が自ら環境影響評価や温室効果ガス(CO2)排出削減貢献量の算定結果を発表し,自社製品のアピールや環境レポート等で説明されている。しかしながら,当初各社の環境影響調査手法は異なっていたため,すべての製品の環境影響を一律に評価することは難しかった。
 そこで,近年では自社製品アピールや環境レポートの有効性を高めるために,国内外全体として表1に示すように環境影響評価手法を標準化する動きが進展しつつある。しかしながら,国内外の各産業分野での標準化は進んでおらず,標準化達成までは多大な時間を要すると予想する。さらに,前身委員会のICTの環境影響評価協同研究委員会では,大学や専門の研究機関との協力関係はほとんどなかったため,本委員会では電気学会等の機関を通じて環境影響評価手法に専門に取り組む研究機関を取り込む必要があると考えている。今回の活動では表1に示す国内外の規格・基準を調査し,委員会に関わる製品・ソリューションについてどのように適用するか検討する。


調査検討事項

(1) 本委員会で取り扱う製品・ソリューションの環境影響評価調査,適用検討
(2) 本委員会で取り扱う製品・ソリューションの環境影響評価結果のユーザーへのアピール資料の提案(環境ラベル等の活用)
(3) 本委員会で取り扱う製品・ソリューションの環境影響評価国内外標準化のために必要な要因の抽出と検討


予想される効果

(1) 次世代産業システム技術委員会に関わる製品・ソリューションの環境影響評価手法の共有
(2) 次世代産業システム技術委員会に関わる製品・ソリューションの環境影響評価手法の最新事例や研究の方向性を
  調査結果として示す。(日本LCA学会と連携)