4.4 電気学会 EAST30 機系統モデル

 本モデルは,「EAST10機系統モデル」よりも,さらに50Hz系統の特性を反映したモデルとなるよう,実系統の縮約をベースとして作成した。ただし,前にも述べたように,潮流条件を通常の運用よりも重潮流にしたり,発電機の制御系を1,2種類に限定しているため,実際の系統よりも不安定となっている。

 作成にあたっての留意点は,概ね10機系統モデルと同様であるが,設備定数を実系統の縮約をベースとして設定したこと,および,500kVループ系統の一部の負荷ノードに調相設備を考慮したことが異なる点である。

 

4.4.1 本モデルの概要

作成したモデルの概要を 表4.6 に,発電機本体定数表および本体定数以外の発電機関連データを各々 表4.7 および 表4.8 に示す。

また,系統図,インピーダンスマップ,潮流図を,各々 図4.15図4.16,および 図4.17(peak)(night)に示す。

 

4.4.2 Y法によるシミュレーション結果

最初に励磁系モデルをLAT=1(負荷特性はNLT=2)とした場合の,送電線1回線3相地絡事故および2回線3相地絡事故(いずれも事故継続時間 70 ms)に対する結果の一覧表を,表4.9 に示す。

 また,表4.9中に●印で示した3ケースのY法波形を 図4.18〜図4.20 に示す。

 これらの結果より,3〜5秒程度の長周期動揺が発生すること,および,1波脱調ケース,N波脱調ケースといった不安定様相が現れることなど,所期の目標が達成できていることが分かる。

 また,表4.9中に▲印を付けたケースについて,発電機励磁系モデルをLAT=2,LAT=102にした場合の結果を 図4.21 に示す。

 いずれも,EAST10機系統モデルの場合と同様,励磁系の速応化(LAT=2,図4.21(b)),PSSの付加(LAT=102,図4.21(c))により,過渡安定度の向上する様子が分かる。