需要設備の品質向上と保全高度化に向けた安全安心技術調査専門委員会
需要設備の品質向上や,設備設計,施工管理,設備保守を含めた保全技術の高度化を目指し,安全安心な需要設備のあり方について提言を行います。
調査期間:2015年1月〜2016年12月(2年間)
委員長:西村 和則(広島工業大学)
目的
近年の高度情報化社会の進展により,多くの需要設備にはICT機器やパワーエレクトロニクス機器を搭載したシステムや装置が多数設置され,瞬時停電も許さない要求があり,受変電設備にはより高い品質の維持が求められている。受変電設備の電源品質には,電気事業法で規定される電圧と周波数の維持確保だけでなく,高調波,電圧ディップ(サグ),フリッカ等々も含まれてきている。これらの電力品質が低下した場合,需要設備への影響が発生することから,電力系統の電力品質を考慮した上で,需要設備の電力品質の適正維持を可能とする保全技術を確立することが急務となっている。
また,需要設備における感電事故や地絡事故は減少してきているが,昨今の海外製品を含めたパワーエレクトロニクス応用機器の急速な進展により,変圧器の接地方式や高調波電流やノイズ電流・電圧を考慮に入れた接地技術,地絡検出技術などの新たな研究課題も検討が必要とされている。さらには,地球環境の変化に伴う自然災害は近年急増しており,従来からも課題であった雷災害も依然数多く発生していることから,この分野の継続的な調査研究も重要である。
一方で,電力エネルギー消費においては,需要設備の中でも民生部門の消費の伸びは増加の一途をたどっており,その低減は急務である。よって,需要設備向けのスマートグリッドやデマンドレスポンスの適用による需要節減,需要シフトの手法の研究開発を今後も促進することが必要不可欠となっている。
これらを踏まえ,需要設備の品質向上や,設備設計,施工管理,設備保守を含めた保全技術高度化を目指し,安全安心な需要設備のあり方を提言することを目的として,本調査専門委員会を設置する。
調査検討事項
次に示す技術項目について,電力供給設備との関わりも含めた需要設備の安全安心技術向上を目指した研究動向について調査し整理する。
(1) 感電防止,地絡検出,地絡抑制,雷災害防止などの需要設備の保護技術
(2) 高調波抑制,瞬時電圧低下抑制,ノイズ対策などの電力品質維持技術
(3) エネルギーマネージメント,スマートグリッドなどのICT関連技術
(4) ヒューマンエラー防止,アセットマネジメントなどのリスクマネジメント技術
(5) 電気設備施工技術と管理手法,需要設備の効率的な状態保全技術
予想される効果
需要設備の品質向上と保全高度化を実現する安全安心技術コンセプトを確立することにより,特に需要家側の受変電設備,負荷設備ほか周辺設備の設計,施工,保守,管理のガイドとなり,より安全安心な電気設備の構築に貢献する。