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スマートグリッドに関する電気事業者・需要家間サービス基盤技術調査専門委員会

国内外のスマートグリッドに関する電気事業者と需要家とに関するサービス及び,その実現に必要な基盤技術について,調査研究を行うとともに,国内関係ステークホルダの意見,実態などを整理し,国内外の関係学協会,標準化団体への提案を行います。

調査期間:2014年10月〜2016年9月(2年間)
委員長:柳原 隆司(東京電機大学)


目的

電気事業者,電力需要家間のインタラクティブな情報交換による電力需給バランス最適化及び,温室効果ガス削減による地球環境保全を狙いとするスマートグリッドの開発,標準化が世界的に進行している。一方,日本では東日本大震災以後,エネルギー安全保障と防災減災の実現が急務となり,再生可能エネルギーを含めた分散電源を活用し,電力系統と需要家を連携させた実証試験が各所で進められている。

スマートファシリティ技術委員会では,欧米のスマートグリッドに関する標準規格のサーベイを行うとともに,日本の電力需要家視点に立ち,国内実証試験サイトから国際標準仕様とすべき技術要件をユースケースに基づき取り纏め,日本としての技術仕様の検討,国際標準化機関への発信を進めてきた。

新設提案する調査専門委員会は,これまでの活動成果を引き継ぎ,既に,経済産業省から依頼されている「スマートグリッド国際標準化重要アイテム20」のうちのBEMSに関する仕様検討団体として,国の標準化政策と帯同し,さらに,検討を深化させるため,国内実証サイトに密着し,スマートグリッド上のサービス実現の課題と対応策を検討し,国際標準化提案を進める。 特に,電力システム改革の進展に合せ,平時の電力最適利用,電力取引などのみでなく,災害発生時に最低限の電力供給を継続するなどの日本特有のユースケースを実現するため,情報モデル化に基づき,システムの相互運用性,セキュリティ性などの技術要件の検討を進める。

これにより,日本の実態に適合した電気事業者と需要家が共に,利益を享受可能な社会システムの実現に貢献する。


調査検討事項

@ 調査専門委員会全体として
国内外のスマートグリッドに関する電気事業者と需要家とに関するサービス及び,その実現に必要な基盤技術について,調査研究を行うとともに,国内関係ステークホルダの意見,実態などを整理し,国内外の関係学協会,標準化団体への提案を行う。特に,IECにおけるスマートグリッドにおける電気事業者と需要家の間のインターフェース仕様の標準化に関する審議,規格化を担うTC57 WG21に対し,本調査専門委員会内の審議結果を取り纏め,国際標準提案を行う。

A 調査専門委員会としての調査検討事項
調査専門委員会の調査検討事項は下記とする。
(1) 国内外の電気事業者と需要家の電力需給調整,電力取引,託送などに関するエネルギーサービスの標準化動向調査及び,国内業界実態,ニーズなどを考慮した国内での実現検討,提案。
(2) 海外の電気事業者と需要家間の先導的標準仕様(FSGIMなど)によるエネルギーサービスの実現仕様の調査検討及び,これを基にした国内のエネルギーサービスシステムの実現検討,提案。
(3) 再生可能エネルギー,未利用エネルギーの電気変換と利用技術に関する動向調査及び,検討。
(4) エネルギーサービスに関する国内ユースケースを実現するための情報モデルの検討,作成。(ビル設備管理向け海外の先導的標準仕様(FSGIMなど)及び,デファクトスタンダード(BACnetなど)を考慮した国内ユースケースの記述性,実現性の検証評価)
(5) 国内業界の実態,ニーズを反映したエネルギーサービスのシステムモデル化とアーキテクチャ検討。
(6) エネルギーサービスを実現するための相互運用性,セキュリティ要件の動向調査及び,検討。
(7) 国内のエネルギーサービス事例を対象にした情報モデル化と相互運用性,セキュリティに関するフィージビリティスタディの実施,検証。
(8) 国内のエネルギーサービスに関するユースケースの精査と,これを実現する情報モデル及び,システムの相互運用性,セキュリティ要件の仕様取り纏め,国内外への標準化提案。

B その他の調査検討事項
電気学会内関係技術委員会,特別研究グループと連携し,関係する調査検討事項の共同検討と,その検討成果に関する研究会,シンポジウムによる外部発表を行う。また,電気学会以外の電子情報通信学会,電気設備学会,空気調和・衛生工学会など関係学協会との情報共有と検討を行う。さらに,経済産業省をはじめとする関係行政機関とも連携し,日本のエネルギーサービスのあるべき姿に向けた提案を行う。


予想される効果

産業,業務分野を主な対象とし,国内外のスマートグリッド,スマートシティなどにおける電力エネルギーに関するサービスに対するニーズ,実用化,標準規格などの動向調査と検討を行う。これらをベースに,国内の電気事業者と電力需要家間の電力需給調整,環境保全などの従来のサービスだけでなく,東日本大震災以降の電力エネルギー地産地消から防災減災などに亘る国内ニーズに応えうるサービスと,それらを実現するシステムの構成,制御方式など,今後のあるべき姿の提案を行う。さらに,これらの検討結果をIECを中心に,国内外の標準化団体に提案し,国内外における電力エネルギーサービスの実現,産業振興に貢献する。