第28回 山梨・静岡東部支所合同研究発表会

日時

2021年11月30日(月) 13:00~16:55

場所

Webexによるオンライン開催

プログラム

時刻 プログラム
13:10~13:15 山梨支所長挨拶
13:15~14:15 招待講演
14:30~16:45 研究発表
16:45~16:50 総評(静岡東部支所長)

招待講演

AI技術の未来予測と今後の研究開発

石井 一夫 先生(公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授)

今人類は,世界人口の爆発的増加等を背景とした水資源・食料不足,地球温暖化等の気候変動等のほか,貧困や格差の拡大,新型コロナウイルス感染症を始めとする新興・再興感染症の流行等の様々な地球規模の課題に直面している.2015年(平成27年)の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる「持続可能な開発のための2030アジェンダ」はその端的な動きである.このような地球規模の危機的状況にあって,ものづくりによるビジネスモデルを再考し,持続可能な世界を再構築し,我々の未来の生活環境を確保できるような新しい産業活動のあり方が求められている.このような中で,今後のAI技術のあり方,研究開発の可能性と方向性について議論したい.

技術者発表

YS.28-01

3種の動作モードを有する昇降圧型DC-DCコンバータのヒステリシス制御

片柳 直弥, 佐藤 隆英, 小川 覚美(山梨大学)

入力電圧範囲が広い電源回路として3種の動作モードで動作可能な電源回路が提案されている.本研究では,先行研究において電圧制御が用いられていた同電源回路の制御に電圧制御に比べ少ない構成要素で実現可能なヒステリシス制御を用いた際の効率を評価している.さらに,先行研究で用いられていた補助電源回路を取り除いた場合の効率の改善効果と入力電圧範囲の減少のトレードオフを明らかにする.

YS.28-02

強磁性多層構造による電流駆動型磁気メモリの安定動作

家登 正尭, 大澤 友克(沼津工業高等専門学校), 本多 周太(関西大学)

スキルミオンを情報担体として用いたレーストラックメモリの安定動作を目的として,マイクロマグネティクスシミュレーションによる計算を行う.2層の磁性細線を用意し,下層にはスキルミオンを敷き詰め,上層にはデータとして複数のスキルミオンを配置する.磁性細線にスピン偏極電流を流した時に,面内及び上下のスキルミオン間相互作用により,データ層のスキルミオンが安定動作する(保持される)ことを示す.

YS.28-03

高効率ビル用マルチエアコンを支えるインバータ装置の開発

西尾 元紀, 加藤 慶一, 金森 正樹, 清水 慎也(東芝キヤリア株式会社)

現在,空調用モータドライブシステムの効率向上手法として,高巻数モータの適用と直流電圧の昇圧を採用している.近年,圧縮機の大容量化に伴い電力変換器の定格も増大している.従来の直流電圧昇圧方式では受動部品の体積・重量・コストが増加する課題がある.本稿では,直流電圧昇圧方式の課題を解決する手法としてオープン巻線モータ駆動システムを開発し,ビル用マルチエアコンに適用したのでその内容について報告する.

YS.28-04

アモルファス合金と電磁鋼板からなる複合鉄心を用いたIPMSMの解析と実機による特性評価

疋田 一馬*,内山 翔,沖津 隆志(株式会社 明電舎)

電気自動車用主機モータは,高トルクから高速まで広い運転領域が求められ,その全域において高効率化が望まれる.そこで,電磁鋼板と比較して低鉄損なアモルファス合金を鉄心に適用し高効率化を図りたいが,飽和磁束密度が低いことから、高トルクを得にくいという課題がある. そこで本研究では,アモルファス合金の特長を活かしつつ高トルクを得るために,アモルファス合金と電磁鋼板を併用した複合鉄心を考案した. 本稿では,複合鉄心を搭載したモータの電磁界解析と実機試験から詳細な特性を明らかにしたので報告する.

YS.28-05

高周波GaN HEMT技術と携帯電話基地局への応用

佐藤 富雄*(住友電工デバイス・イノベーション株式会社)

GaN HEMTはギガヘルツ帯アプリケーションへの応用を目指し2005年に商品化されました.過去15年間で,SiC基板からパッケージングまで、すべてのプロセスでコスト削減に多大な努力が払われ,その結果として現在では高周波帯アプリケーションの中においても特に低コストが求められる携帯電話基地局で広く使用されています.GaN HEMTの低コスト化に向けた技術と,基地局として強く求められる高効率増幅器技術ついて説明します.

YS.28-06

大口径半導体デバイス製造装置を用いたプラズマプロセスのレーザー吸収分光計測

佐藤 幹夫*,池田 太郎,長田 勇輝,山本 伸彦,尾崎 成則(東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ株式会社)

江利口 浩二,占部 継一郎(京都大学)

我々は半導体デバイス製造プロセスの自律化を目的として、制御AIの情報源となる各種プラズマ計測技術を開発している.今回は、非侵襲かつ高速な励起粒子密度計測技術であるレーザー吸収分光(Laser Absorption Spectroscopy:LAS)法に関する取り組みを報告する.300mmウェーハ用大口径プラズマ装置へLAS法を適用するための技術的要点と実装に向けた基礎評価実験結果を紹介する.

主催

電気学会東京支部山梨支所