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本委員会について

名称:モーションコントロールの高機能化に関する協同研究委員会
調査期間:2015年3月〜2017年2月(2年間)
委員長:弓場井 一裕(三重大学)


目的

モーションコントロール技術は高速・高精度化を実現する基盤的な研究は勿論,制御システムの高機能化によりその付加価値を高める研究も精力的に行われている。本協同研究委員会ではモーションコントロールシステムを高機能化する技術に関する研究開発動向を調査することを活動目的とする。

周知のとおり,モーションコントロール技術は産業の基盤技術として,工作機械,産業用ロボット,ディスク装置,車両駆動システム,ステージ装置,パワーアシストなどの様々な産業機器・民生機器に広く用いられている。また,製造業だけでなく,遠隔手術システムやリハビリテーション機器などの医療・福祉分野,触覚の伝送など通信分野においてもモーションコントロール技術が活用され始め,活躍の場を広げている。

モーションコントロール技術の応用分野の拡大に伴い,モーションコントロールシステム自体への要求もより複雑化かつ高度化し始めている。工作機械や産業用ロボットなどにおいては,さらなる高速・高精度化を実現するため,制御対象の状態を診断・同定する機構や,その結果に応じた制御器の切替・適応や学習機構,参照信号の再調整する機能が導入されており,これまでのモーションコントロールシステムに対し,付加価値を与える機能を追加する取り組みが積極的に行われている。また,医療・福祉分野への進展を考える上では,安全性の確保は最重要な課題となる。人間・機械複合系においては機構上の安全性のみならず,故障検出・耐故障制御の機能をモーションコントロールシステムに組み込み,システムとしての安全性を確保することもモーションコントロール技術の発展には不可欠であると考えられる。このように本協同研究委員会ではモーションコントロールシステムに付加的な価値を与える機能に関する動向調査を活動目的とする。これらの活動は各分野での深化によるばかりではなく,分野相互での研究事例・開発技術を報告・紹介することによって相乗効果を得て加速することができる。特に産・学双方からの視点は議論を客観視するためには不可欠である。このように,包括的な研究調査を遂行できる場としての協同研究委員会の設置はモーションコントロール技術の発展に大きく寄与することになる。

本協同研究委員会では,以上のようなモーションコントロールの高機能化に関する基礎的研究および応用研究について,産・学から研究応用事例を通して問題提起・検討・議論を行い,今後のモーションコントロール技術の発展を展望していく。ここで得られた知見を基に,電気学会研究会への協賛や産業応用部門大会でのシンポジウム・オーガナイズドセッション等の提案を行い,モーションコントロール技術の発展と啓蒙に寄与する。


調査検討事項

(1) モーションコントロールの高機能化に繋がる技術に関する調査
モーションコントロールシステムを高機能化することで付加価値を与えることも重要な課題の一つと考えられる。対象の診断・同定技術や,それらの結果に応じた制御則の切替・適応や学習機能もそれらの一つといえる。産業界・学界の各委員がそれぞれの立場からモーションコントロールの高機能化に関する課題,ニーズ・シーズの議論・調査を行う。

(2) モーションコントロール技術に影響を与える新しい周辺関連技術に関する調査
モーションコントロール技術に新しい課題を供する新しいセンサ,計測技術,パワーデバイス,アクチュエータ,設計技術,素材等の周辺関連技術とそのモーションコントロールへの応用について調査を行う。

(3) 人間・機械複合系におけるモーションコントロールの研究開発事例に関する調査
人間・機械複合系はパワーアシストなどの産業分野だけでなく,遠隔手術やリハビリテーションなどの福祉・医療分野でも取り扱われるようになっており,今後のモーションコントロール技術の発展には人間・機械複合系への取り組みは不可避と考えられる。これらの技術分野における研究開発事例とそれを通した技術動向に関する議論・調査を行う。


予想される効果

調査の結果は,モーションコントロールの最新の応用事例を報告することとなり,関連技術者および研究者への重要な情報提供に寄与するとともに,より広範囲の応用事例への適用の可能性を示唆することになる。これまでの製造業を中心とした分野ばかりでなく,医療・福祉,通信など今後発展していく様々な応用分野への展開に貢献できるものと考える。