プラズマイオン注入調査専門委員会
設置趣意書(案)
プラズマ技術委員会
1.目的
プラズマイオン注入法はプラズマ中におかれた基材に負の高電圧パルスを印加することにより周囲に発生するイオンシースから一様にイオンを基材にイオン注入する技術である。PBII
(Plasma Based Ion Implantation)と総称されている。PBIIは自動車部品、工具、金型、航空機部品などのエンジニアリング部材へのイオン注入方法として大きな期待がもたれている表面改質法である。
研究はアメリカにおいて約15年前から行われ、ガスプラズマを中心として研究されてきた。高密度プラズマの生成、金属プラズマによる注入実験、均一注入の条件などの検討、調査は十分に行われておらず成書も見あたらない。プラズマの発生技術のみでなく、高電圧発生技術、印加技術、フィードスルー技術(絶縁技術)などハード面での検討も必要である。さらには生成された薄膜の特性、厚膜精製技術、イオン注入特性など材料面における技術課題も多い。
本調査委員会はプラズマイオン注入の物理はもとより、各種の技術、薄膜評価、実用化動向に的をおき、将来への展開を図ることを目的とする。
2.内外のすう勢
アメリカにおける研究のスタートの後ヨーロッパ、東アジア、オーストラリアへと研究の輪が広がり、円筒のような簡単な形状物などへのイオン注入については実用化レベルにまで達しているが、量産化については実現していない。短パルス高電圧の発生と高密度プラズマの生成が重要であるが、研究開発はここ2年くらいの間にアメリカを中心として、量産化研究が行われている。日本におけるプラスマイオン注入は平成7年の通産省提案公募による研究が平成7年度より行われ、金属プラズマによるイオン注入が行われた。これは薄膜の生成とイオン注入が同時に行われた。アメリカにおいても薄膜生成、イオン注入同時プロセスの研究が始められた。プラズマイオン注入の国内の研究を見ると、ここ1,2年の間に急速に研究の輪が広がってきた。大学、国立研究所で研究が始まり、いくつかの地域コンソーシアムにおいてプラズマイオン注入の実施研究が行われようとしている。現在研究機関の総数は10指に余る。
3.調査検討事項
1)プラズマイオン注入装置(各種プラズマ源、発生方式)
2)イオン運動の物理(シースの運動、影響するパラメータ)
3)イオン注入の評価(注入量、密度、温度等)とシミュレーション技術
4)応用(各種部材、半導体、コスト、展開の見通し)
5)電源技術(モデュレータ、スイッチ技術、絶縁技術)
4.予想される効果
ここまで散発的に活動していた研究者及び技術者が本調査委員会で定期的に会合して総合的な調査研究を行うことにより、技術的課題の把握、システムの最適化、将来への課題と問題点、展望が明確になると共に斬新な応用面が明らかになることが期待される。
5.調査期間
平成11年(1999年)7月〜平成13年(2001年)6月
6.委員会の構成(案)
委員長 行村 建
(同志社大学)
委 員 池田 孜
((株)イオン工学研究所)
委 員 池畑 隆
(茨城大学)
委 員 岩木正哉
(理化学研究所)
委 員 上松和夫
(石川島播磨重工業(株))
委 員 大原久典
(住友電気工業(株))
委 員 桂井 誠
(東京大学)
委 員 熊切 正
((株)神戸製鋼所)
委 員 古賀義紀
(物質工学工業技術研究所)
委 員 作道訓之
(金沢工業大学)
委 員 高木浩一
(岩手大学)
委 員 滝川浩史
(豊橋技術科学大学)
委 員 中村圭二
(名古屋大学)
委 員 堀野裕治
(大阪工業技術研究所)
委 員 三宅正司
(大阪大学)
委 員 諸貫正樹
((株)リケン)
委 員 八束充保
(姫路工業大学)
委 員 山田 公
(京都大学)
幹 事 政宗貞男
(京都工芸繊維大学)
幹 事 西村芳美
((株)栗田製作所)
幹事補 丸山敏朗
(京都大学)
7.活動予定
委員会 5回/年
幹事会 2回/年
8.調査結果
本委員会での調査によって得られた結果は、電気学会技術報告書としてまとめる予定である。