プラズマ技術委員会

 核融合プラズマの研究では,イーター(ITER)計画において小型コンパクト化の設計が進められているとともに,内部輸送障壁により閉じこめ性能が大きく改善されることがわかってきた。国内ではヘリカル装置の実験が順調に推移し,また球形トカマクプラズマが期待通りの成果を上げつつある。後者は,優れた閉じこめ性能が確信されるに至っており,アメリカ,イギリスでMA級の装置が完成した。また,日本で生まれ日本が世界をリードしている新しい型のマイクロ波プラズマ研究は,大口径表面波プラズマが半導体プロセスに応用間近であるだけでなく,無磁場・有磁場の高密度マイクロ波プラズマを材料プロセス,光源,有害ガス処理などに応用する開発研究が,国内外の産業界で進められており進展が著しい。さらに核融合研究の分野では,80170GHzの超高周波帯大電力発振管の開発が進められ国際的に大規模な高密度プラズマの生成・加熱研究が行われている。

 プラズマイオン注入技術では三次元形状物へのイオン注入と成膜を同時に行う複合技術が進歩した。金型へ窒化クロム膜を成膜し剥離性の向上を図る例,極微量のシリコンやニオブイオンを注入し耐高温酸化材料の開発と共にトリガ機構を持たない金属/固体プラズマ源や負荷の影響を受けないパルスモデュレータなどの装置開発も行われている。ヨーロッパではマルチポール方式によるECRプラズマによる大容積プラズマイオン注入が注目されている。この他,プラズマディスプレイで使われている小型セル内プラズマの研究は,ナノ領域も視野に入れて発展しつつあり,新たな研究領域が形成されるものと期待されている。

     (プラズマ技術委員会:委員長 桂井 誠)

電学論A121,3,p293(2001)より引用


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