シミュレーションにおける用語

分類用語解説備考
全般 スクリプト ・テキストベースのコマンド文でシミュレーションの
 実行条件を制御

・コンピュータプログラムの種類の一つで,機械語
 への変換や実行可能ファイルの作成などの過程を
 省略または自動化し,ソースコードを記述したら
 即座に実行できるようなプログラムのことを指す。

パラメトリックスタディー向き
ソルバ ・計算エンジン

・数値解析ソフトウェアにおいて,設定された入力
 条件から支配方程式を構築して求解を行い,結果を
 出力するプログラムあるいはルーチンの総称。

・数式モデルを実際の計算式へ展開して
 数値計算を実行

・ソフトウェアによっては,支配
 方程式構築後の求解部分のみを指す

プリプロセッサ ソルバに必要な入力データを作成するための
プログラムあるいはルーチンを指す。多くの
場合,ユーザがグラフィカルに回路や3Dモデルを
構築するためのGUIを有する。
ポストプロセッサ ソルバが出力した計算結果を,グラフや
アニメーションによってユーザに分かりやすく
表示するためのプログラムあるいはルーチンを
指す。
計算時間刻み ・微分方程式を解く時間の刻み。

・変化が速い(周波数が高い)システムでは
 短い刻み時間を必要とする。

定式化 シミュレーションモデル(電気回路など)を
数式(行列式)にすること。
スティフ 時定数の桁数が大きく異なる系。
複数のスティフな系が混在するシステム
=>マルチドメインシステム
陽解法,陰解法 陰解法 :計算時点の変数を再帰的に含む積分公式を
     使用する。複数の方程式で表現される系は
     連立方程式を解く必要がある。

積分公式:後退オイラー法,台形法,ギア法など


陽解法 :計算時点の変数が既計算結果で表現される
     積分公式を使用する。複数の方程式で表現
     される系であっても連立方程式を解く必要
     はない。

積分公式:前進オイラー法など

数値的安定性は陰解法がすぐれている。
陽解法で数値的安定性を確保するには
計算時間刻みを系の時定数に応じて
陰解法より小さく設定する必要がある。
縮退 縮退要素 -> 計算負荷を軽減するため使用
縮約
0D,1D ・簡略化モデル。実形状モデルなし(質点系、線分)

・解析対象の形状や空間内での変化を考慮しない,
 あるいはこれらの影響が及ばないモデル

・「ものごとの本質を的確に捉え、機能を見通しの
 よい形式でシンプルに表現すること」1)

1) 大富浩一ほか, 「1D CAEによるものづくりの革新」,
 『東芝レビュー』, Vol.67, No.7, pp.7-10, 2012年

2D,3D 詳細モデル。実形状モデルあり(2次元、3次元)
ビヘイビアモデル
物理モデル
連成・連携解析,
マルチドメイン
連成解析 ・異なる物理条件を行列式レベルで組み合わせ
 相互作用を検証

・連成解析:別々の支配方程式で表される
 物理現象が互いに関係をもつような複雑な現象を、
 それぞれの方程式を関連付けて解くことによって
 求めること。

「強連成」
「モデル交換(Model Exchange)」
連携解析 ・異なる物理条件を個別に計算し逐次計算によって
 相互作用を検証

・特定の現象を求める1つの解析を実行した後、
 その結果を使って別の現象を解く解析手法

「弱連成」
「コシム(Co-simulation)」
強連成 ・=「連成解析」

・互いに関与しあう別々の支配方程式で表される
 複数の現象を、一つの系として厳密に同時に
 満たすように解く連成手法

弱連成 ・=「連携解析」

・別々の支配方程式で表される複数の現象を、
 互いに関係する情報を交換しながら、交互
 あるいは別々に並行して解いていく解析方法

テーブル参照 ・既存データの読み込み機能。

・二次元,三次元などのテーブルが準備されている
 シミュレータが多い。また,入力として,時間を
 用いるものや,他の物理量,変数を用いる機能も
 ある。

因果 ・ブロックダイアグラムで表現されるように,
 入力と出力が陽に表現される系。信号フロー。

・基本的に時変数値である単方向信号がブロックの
 方向に流れ,ブロックでは、信号に対し予め
 定義されている数学操作が実行され、結果は
 ブロックの反対側から出力される。
 このアプローチは、制御システムやデジタル
 フィルターなど信号が単方向にしか進まない
 モデリングシステムに適している。

「信号変数で表される」
「シグナルコネクション」
「causal」

「入出力関係(input-output relation)で
 表現されるシステム」

「入力の値が与えられるまで出力の値が
 得られない」

非因果 要素の節点で,キルヒホッフなどの保存則が
満足される。入出力の概念は無く,アクロス/
スルーなどの物理量で表現される。
「物理量で表される」
「パワーコネクション」
コシム
(Co-simulation)
複数のツールのソルバを接続し,相互に連携して
解く
モデル交換
(Model Exchange)
各モデルをマスタープログラムがAPI関数を通して
呼ぶことにより,対象システムの微分代数方程式
(DAE)をたてて統合的に解く。
FMI(Functional
Mockup Interface)
FMIは,独ダイムラー社主導の下にEUのITEA2に
おいてModelisarプロジェクトとして開発された
モデル接続のためのインターフェース。F的は,
状態空間シグナルフローインターフェースを
介してモデルやシミュレータを結合させる
ことである。
FMU(Functional
Mockup Unit)
FMIにより接続されるモデルユニットで,zip
ファイル形式により与えられる。
HILS(Hardware
In the Loop Simulation)
プラント用HWエミュレータと連携し、
リアルタイムに実際の制御器HW(MCU、FPGA)を
駆動する手法
SILS(Software
In the Loop Simulation)
MBD(モデルベースデザイン)のブロックモデル等から
制御HW用Cコードを自動生成して、コンピュータの
仮想空間上で、制御アルゴリズム(Cコード)の検証を
実施する手法
PILS(Processor
In the Loop Simulation)
制御用Cコードを制御HW(MCU)に組み込み、
シミュレータの仮想プラントモデルと接続して
同時に実行する手法
MILS(Model
In the Loop Simulation)
SILS、PILS、HILS等を含めたモデリング手法の
総称