社会を支え、拓くマグネティックス
マグネティックス技術委員会は、すべての磁気関連技術を検討対象として活動しており、現在11の調査専門委員会が設置されています。これら調査専門委員会はいずれも現代のマグネティックスにとってきわめて重要な課題を取り上げてテーマとし、調査研究を行っており、この委員会名称がそのまま現代のマグネティックスのトピックスであると言えます。ここではこれらのテーマを大きく3つに分類してみました。材料、デバイス・システム、解析技術です。この内容について以下簡単に説明します。
磁性材料開発においては、変圧器・モータに使用される低損失電磁鋼板、新たな機能性を有する薄膜材料、永久磁石材料など家電製品から産業機器に欠くことのできない新たな磁性材料開発と、その測定・評価法に関する調査を行っています。
デバイス・システム関連では、センサ、マイクロマシン、マイクロデバイス、光磁気記録、磁気の生体作用など、実社会でのニーズに合致した新しいデバイス・システムの開発に関する調査を行っています。
解析技術では、磁性体における非線形要素を考慮した解析方法、磁界分布を制御・設計することにより出現する新機能、などに関する調査を行うとともに、基盤技術の調査研究を行っています。
以上のようにマグネティックスの分野は,我々の日常生活に密着しており,領域はきわめて広く、その研究・調査は非常に重要です。本技術委員会を構成する各調査専門委員会は自身のテーマで年2回の研究会を行うことで、研究・調査した最新のトピックスを広く社会に発信しています。この研究会の内容は高く評価されており、多数の機関で定期購読されています。
マグネティックスのカバーする領域は、その取り扱うパワー、周波数、素子サイズ、等あらゆる尺度において極めて幅広く、それぞれが社会生活に欠かせない重要なテーマとなっています。
ここでは仮に先に挙げた材料、デバイス・システム、解析技術に分けて21世紀の人類社会にマグネティックスが貢献できるテーマをあげてみました。もちろんこの分類の境界上に有るテーマも多数あり、一概にはくくれませんが、エネルギー、情報通信、機器設計、医療、など極めて多岐にわたることがご理解いただけると思います。
またこのように広い分野をカバーしていることは同時にマグネティックス以外の研究者との協力が欠かせないことも示しています。
マグネティックス技術委員会は、電気学会A部門においてマグネティックス分野における検討を一層進めるとともに、A部門の他の技術委員会、ならびにB,C,D,E部門、さらには電子情報通信学会、金属学会、応用磁気学会など他の学会とも密接に協力し、21世紀の人類の豊かな暮らしと自然との共生に貢献してゆく所存です。