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電気学会 誘電・絶縁材料技術委員会
委員長 田中康寛

 平素から誘電・絶縁材料技術委員会の活動にご理解とご協力をたまわり、厚く御礼申し上げます。当技術委員会では、毎年、研究会、セミナなどを企画しておりますが、中でも電気電子絶縁材料システムシンポジウムは、当該分野の研究者・技術者が一堂に会して議論する、最も重要な行事と位置づけて注力しております。
 本シンポジウムも今回で44回を数えることとなりました。私が初めてこのシンポジウムに参加した頃は、恩師である矢作先生はすでにお亡くなりになられておりましたが、家田先生、犬石先生はご健在で、シンポジウムでは犬石先生が最前列に陣取り、厳しい質問を次々と繰り出している姿が印象的でした。また、若手セミナでは、家田先生が独特のユーモアを交えた語り口で、誘電・絶縁材料の必要性を語りかけて下さったのを良く覚えております。
 これら偉大な先達のお名前を冠した、学術貢献賞である家田賞 と、技術貢献賞である矢作賞の各受賞者には、シンポジウムでご講演をお願いすることになっております。これは技術開発のご苦労と成果を若い世代に伝えていただきたいという思いによるものです。今年度の家田賞は清水教之先生、矢作賞は井上良之氏が受賞され、それぞれ興味深いお話を聴かせていただくことになっております。なお、犬石賞は3年ごとに開催される本シンポジウムの国際会議版、ISEIMで表彰が行われることになっており、次回は来年6月初旬に行われるISEIM2014(開催場所:新潟、朱鷺メッセ)で受賞者による講演が行われます。
 さて、当委員会では、このシンポジウムを魅力的なものにするためにこれまでも尽力してまいりましたが、本年度より、特別セッション企画として、口頭発表に加え、計測や診断のデモンストレーションを行うことになりました。これは、若手研究者に現場での作業を理解していただくことで、研究の重要性を再認識していただくことを目的としており、今年は診断技術に関する実演を行います。これにより、セッション全体が活性化することを期待しております。
 さらに、もうおなじみになったかもしれませんが、若年層を中心とした研究者が相互に触発しあうことを目的としたMutual Visiting 方式のポスターセッションに加え、企業での研究開発を特に若手研究者に知っていただくための展示発表セッション(SS セッション)も、昨年同様、実施いたします。今回はSSセッションに多数ご協力いただきまして、ご関係の皆様に厚く御礼を申し上げます。
 筆者の個人的な感想ですが、ここ10年ほどは、社会的には“誘電・絶縁材料の研究は、比較的地味だが社会基盤を支えていく技術として不可欠であるから、細々とでも続けていく必要がある”との意識をもたれている方が多かったように思いますが、近年は、欧州での直流高電圧(HVDC)送電網開発の活性化、SiCなどの新規デバイスへの対応、インバータサージに対する対策、原子力発電施設の絶縁材料の評価問題解決など、誘電・絶縁材料が鍵を握る要因が増えてきているように思えます。つまり、新世代の社会インフラを左右する重要な技術として注目を集めつつあるのではないかと思います。このシンポジウムにおいて、皆様の意識も新世代を切り開く重要な研究・技術開発であるとの認識が、より一層“覚醒”することを期待しております。
 最後になりましたが、今回のシンポジウムの開催に多大なご協力を頂きました、長尾先生、穂積先生、村上先生を始めとする現地実行委員の方々、誘電絶縁技術委員会幹事団、1号委員、2号委員の方々に心よりお礼を申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。