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電気学会 誘電・絶縁材料技術委員会
委員長 長尾雅行

 みなさまには,平素から誘電・絶縁材料技術委員会の活動にご理解とご協力を賜り,心より厚く御礼申し上げます。ご存知のように,当技術委員会では,毎年,研究会,セミナーなどの各種の活動を企画しておりますが,中でも電気電子絶縁材料システムシンポジウムは,当該分野の研究者・技術者が一堂に会して議論する,最も重要な行事であると位置づけています。
 本シンポジウムも今回で第41回を数えることとなりました。第1回は電気絶縁材料シンポジウムとして,昭和43年に電気学会電気材料技術委員会のもとの絶縁関係の専門委員会である,絶縁材料耐熱性試験法常置委員会,絶縁材料コロナ劣化常置委員会,絶縁材料トリーイング調査委員会,絶縁材料導電特性研究委員会の4委員会が協力して,中島実行委員長の下で開催されました。当時,この分野の学術研究の最先端の議論がなされていた米国のポコノ会議のような雰囲気の会議を日本でも行いたいとの関係各位の強い願いを具現化した会議でした。昭和46年の第4回シンポジウム以降は絶縁材料常置専門委員会が設置されて担当することになり,現在に近い形が出来上がりました。平成11年の第31回シンポジウムより,名称を現在の電気電子絶縁材料システムシンポジウムに発展的に変更することにより対象分野の更なる拡大を明確に示しました。初期の手書き原稿を含め,これまでに発行された予稿集をひもとくと,犬石先生,家田先生,矢作先生を始めとする多くの先人のご苦労と輝かしい成果が偲ばれます。日本のこの分野の学術研究・技術開発を世界の最先端まで押し上げるのに大きな役割を果たしたこのすばらしいシンポジウムを継続的に維持発展させていくことの責任を委員長として痛感しています。
 現在,各種の研究会,大会,セミナー等が数多く開催されている状況にあり,シンポジウムの位置づけと特徴をより明確にすべく,委員会としてもこれまでにいろいろな努力を続けてきています。ISEIMにおける犬石賞,本シンポジウムにおける学術貢献賞としての家田賞,産業界への貢献に対する矢作賞の創設を始め,次世代を担う若年層を中心とした研究者が相互に触発しあうことを目的とし口頭発表的要素をも取り入れたたMutual Visiting 方式のポスターセッション(MVPセッション),産業界からの発表セッションとして通常の研究発表に加え企業での研究開発を特に若手研究者に知っていただくための展示発表セッション(SS セッション)などをこれまでに導入し成果を上げていますが,今後もこれらの斬新なアイデアによる企画を継続して推進して行く予定です。
 今回のシンポジウムの家田賞はシンポジウム開催地に関係した秋田大学学長吉村昇先生が受賞されることになりました。ご存知のように秋田大学は誘電絶縁分野において,特に,トリーイング絶縁破壊および屋外絶縁に関して数々の素晴らしい研究成果をあげられています。第1回シンポジウムの実行委員を務められた能登文敏先生の研究精神を更に発展させ開花されるのみならず,大学における学術研究・教育の管理運営面でも大いに活躍されている吉村先生に敬意を表したいと思います。吉村先生は家田先生の元で論文博士を取得された経緯もあり,家田賞に真にふさわしい方であると思います。一方,矢作賞は元東芝の後藤一敏氏が受賞されることになりました。後藤氏は企業における誘電絶縁技術の開発を初期から担当されており,その豊富な知識と経験をもとに,誘電絶縁技術委員会,CIGRE SCD1国内委員会における学会活動,特に,日本におけるナノコンポジット材料,屋外有機絶縁材料の技術・研究開発においても指導的な役割を担ってこられました。今回の受賞講演において,お二人からは,これまでの研究・技術開発のご苦労と成果のみならず,そのもととなる精神・心構えを若い世代に伝えていただけるものと期待しています。
 さらに本年度は,過去の委員長経験者による新しい計算法・診断法に関する発表を取りまとめた特別セッション1,技術委員会委員による絶縁材料の製造法に関する特別セッション2を企画いたしました。前者は,誘電絶縁分野の新展開の一端を示すこと,後者は学生諸君を中心とする若い世代に研究対象としている絶縁材料の製造法とその応用についてより深く理解していただきたいとの思いで企画いたしました。また,本シンポジウムにおける研究発表をもとに候補を選び,それらをバージョンアップして頂き,電気学会A部門論文誌において電気電子絶縁材料システムシンポジウム特集号を毎年発行することにいたしました。これにより,本シンポジウムにおける優れた研究成果がより広く周知されるとともに,参加意欲が向上することを期待しています。
 以上のように,技術委員会としてはいろいろな努力を続けていますが,本シンポジウムを真に有意義なものに出来るか否かは,シンポジウム参加者一人一人の参加の心構えにあると思います。ご自分の研究成果を他の参加者に広く知ってもらうのみならず,一つでも多くの新しい知識やアイデアを他の参加者の発表・討論の中から得ようとする気持ちを持って参加することが大切と思います。シンポジウムのセッションだけでなく,休憩時間,食事時間,懇親会の時間などを利用して,多くの方と知り合い,交流を深め,大いに議論し情報交換していただくことを期待しています。
 最後になりましたが,今回のシンポジウムの開催に多大なご協力を頂きました,鈴木先生を始めとする現地実行委員会の方々,誘電絶縁技術委員会幹事団,1号委員,2号委員の方々に心よりお礼を申し述べ,私のご挨拶とさせていただきます。