電気学会 誘電・絶縁材料技術委員会
委員長 穂積直裕



平素から誘電・絶縁材料技術委員会の活動にご理解とご協力をたまわり、厚く御礼申し上げます。
当技術委員会では、毎年、研究会、セミナなどを企画しておりますが、中でも電気電子絶縁材料システムシンポジウムは、当該分野の研究者・技術者が一堂に会して議論する、最も重要な行事と位置づけて注力しております。

さて、本シンポジウムも今回で40回を数えることとなりました。初期に発行された手書きの予稿集をめくると先人のご苦労と輝かしい成果が偲ばれ、このすばらしいシンポジウムを継続的に維持発展させていくことの責任を痛感するところであります。一方で、各種の研究会、大会、セミナ等が乱立する中、シンポジウムの位置づけと特徴を明確にしていく必要に迫られており、幹事団は涙ぐましい努力を続けております。

本年度からは学術貢献賞家田賞受賞講演に加え、技術貢献賞矢作賞受賞者にもご講演をお願いすることにしました。これは技術開発のご苦労と成果を若い世代に伝えていただきたいという思いによるものです。学術貢献賞家田賞は長尾雅行先生、技術貢献賞矢作賞は津久井勤先生が受賞され、それぞれ興味深いお話を聴かせていただくことになっております。 さらに本年度からは、いくつかのセッションにおいて、調査専門委員会等の取りまとめ役として高い見識をもつ研究者に基調講演をお願いすることにしました。これにより、セッション全体がきりりと引き締まり、深みのある議論が展開されることを期待しております。

若年層を中心とした研究者が相互に触発しあうことを目的としたMutual Visiting 方式のポスターセッションは、これまでのポスターセッションには見られない斬新なアイデアであり、昨年度の国際会議にも導入して、各国の参加者から高い評価を受けたと認識しております。次いで、産業界からの発表セッションとして、通常の研究発表に加え、企業での研究開発を特に若手研究者に知っていただくための展示発表セッション(SS セッション)を実施いたします。ここで産学あるいは産産連携の新しいアイデアが生まれることも期待しております。また、企画セッションは、これまで、絶縁に関係なく宇宙、生体と、企画側の興味の赴くままにテーマを選んできておりますが、本年度は計測技術に関して成果を出し合い、新展開の発生を狙います。

シンポジウム終了後には、中国電力島根原子力発電所と松江工業高等専門学校の見学会を実施いたします。受入れ先各位のご厚意と現地実行委員会のご尽力に深く感謝いたします。また、これら一連の行事終了後には幹事団の念願であった若手セミナの復活を果たす運びとなっております。

以上の如く幹事団としてはシンポジウム改革のために考えられる手の多くを打ったと考えております。しかしながらシンポジウムの主役は発表者・参加者一人一人であります。皆様の新しい研究成果が、議論の中でさらに価値の高いものに昇華することを望んでやみません。