電気学会 誘電・絶縁材料技術委員会
委員長 穂積直裕



平素から誘電・絶縁材料技術委員会の活動にご理解とご協力をたまわり、厚く御礼申し上げます。当技術委員会では、毎年このシンポジウムをはじめとし、研究会、セミナーなどを企画しておりますが、中でも電気電子絶縁材料システムシンポジウムは、当該分野の研究者・技術者が一堂に会して議論する、最も重要な行事と位置づけております。

さて、本シンポジウムも今回で38回を数えることとなり、愈々歴史の重みを感じているところであります。一方で、産業界におけるここ数年間におよぶ研究投資の減退と、それに関連した研究者数の減少は、景気が回復したと云われる現在でも影を落としており、当該分野における日本の技術力を維持発展させるために産学が協力して新風を起こす必要に迫られております。このような背景から、本年度シンポジウムでも、新しい企画をいくつか提案しました。

若年層を中心とした研究者が相互に触発しあうことを目的としたMutual Visiting 方式のポスターセッションは、これまでのポスターセッションには見られない斬新なアイデアであると考えております。深い議論と新しい出会いに繋がるポスターセッションは、今後も重点化していきたいと考えております。

特別セッションでは、最近話題となっているインバータサージ下の絶縁を議論していただきます。また、絶縁という枠にとらわれず、我々の仲間が産学連携などでどのような研究展開を図っているかを知っていただくためのセッションを企画しました。さらに、産業界でどのような研究開発が行われているのかを、特に若手研究者に知っていただくための展示発表セッション (SS セッション) を企画しました。これにより、産学あるいは産産連携の新しいアイデアが生まれ、あるいは優秀な若手研究者が生涯の仕事としてこの分野に魅力を感じてもらえることを期待しております。

以上の如く幹事団としてはシンポジウム改革のために考えられる手の多くを打ったと考えておりますが、改革は始まったばかりでありますので、上昇気運招来を目指し、今後も手を尽くす所存であります。来年度は本シンポジウムの国際版であるISEIM が開催されます。気運を盛り上げる活発な議論が展開されることを期待しております。