電気学会 誘電・絶縁材料技術委員会
委員長 穂積直裕


平素から誘電・絶縁材料技術委員会の活動にご理解とご協力をたまわり,厚く御礼申し上げます。本年度から誘電・絶縁材料技術委員会の委員長を拝命いたしました。ご存知のとおり,当分野では3巨星の名を冠した家田賞,犬石賞,矢作賞が創設され,毎年分野の発展に尽力された研究者,技術者の方々が受賞されておられます。分野の始祖となられたこれらの先生方から見ると,現委員長の私は孫弟子世代に当たります。当分野も愈々3世代目が舵取りをする時代に至り,歴史の重みと責任の大きさを痛感している次第であります。

当分野では早くから諸外国の優れた研究者を積極的に招聘し,分野に新しい情報がもたらされてきました。諸先輩の努力の結果,日本の誘電・絶縁材料技術は世界最高レベルに達していると認められます。一方で,他分野において産官学あるいは異分野間の連携による新しいプロジェクトが続々と成立し成果を挙げているのに比べ,当分野のそのような活動は必ずしも活発であるとは言い難い状況であると考えます。

勿論当技術委員会は電気学会の中で活動してきたことにより,電気電子材料学のみならず,電力工学をはじめ,情報理論,統計学,システム工学,制御理論,計測学など,幅広い分野の成果を積極的に取込んできました。今後は他分野に向かって積極的に成果を発信し,若い技術者・研究者にとっても魅力のある新しいネットワークを構築すべきと考えております。

このような背景のもとに,当技術委員会が主催する最も重要な行事の一つである本シンポジウムも,魅力あるやりかたに変えていく必要を感じております。シンポジウムは議論の場,新しい情報や出会いがある場となるべきと確信しております。本年度は「宇宙環境における誘電・絶縁材料」をテーマとした招待講演と特別セッションを企画しました。この企画には,新しい展開を模索するとともに,各所で行われる大会等との差別化を図り,誘電・絶縁材料周辺分野に特化した深い議論ができるシンポジウムにしたいという私たちの思いが込められています。

歴史ある本シンポジウムを変えていくことは時間を要する課題ではありますが,世の中の激変に遅れをとることがないよう,今後も斬新なアイデアを取込んでいきたいと考えております。各位の変わらぬご理解とご参画をお願い申し上げます。