第35回電気電子絶縁材料システムシンポジウム開催にあたって

誘電・絶縁材料技術委員会
委員長 岡本達希

 電力自由化の大きな波に揺られ、本委員会の主要な課題である高電圧機器絶縁技術の研究開発への投資が激減する中、本委員会の使命も大きく変化していると思います。国際的に見ても国際大電力網会議いわゆるCIGREも最近の電気事業の動向に大きく影響され、大幅に組織変更されました。特に誘電・絶縁材料技術委員会に関係の深いSC15(絶縁材料部門)がSCD1(電気材料と新規技術分野)と変更され、単に絶縁材料だけでなく分散型電源用材料等の新しい電気材料と新技術を調査・研究対象に拡大されました。
 この時期に誘電・絶縁材料技術委員会への本当の要求が何であり、どの様にその要求を満たして行くことが委員会メンバーひいては学会メンバーに貢献できるかと云う重い問い掛けをされている様に感じています。この答えを見つけるために委員会メンバーを含め広くご意見を頂きながら意味のある委員会活動にして行きたいと思っています。
 その中で本シンポジウムは非常に重要な意味を持っています。つまり最新の研究成果の情報を交換するだけでなく今後の研究動向に関する意見交換を行う絶好の機会となっていると云うことです。今回は新しい試みとして、ひとつはCIGRE WG のご協力によるジョイントセッションを開催し研究のグローバル化を目指すとともに、CIGRE SCD1でも最もホットな話題のひとつである膨大な電力設備の有効活用を目指したアセットマネージメント (資産管理技術)に関するセッション、あるいは通信システムを支える誘電・絶縁材料のセッションも含めた国際的に新しい研究分野への展開も目指したシンポジウムにしたいと考えました。
 本シンポジウムが誘電・絶縁材料技術関連研究者にとって少しでも有意義な会議になることを祈願してご挨拶に代えたいと思います。