社団法人 電気学会
平成25年度工業標準化事業表彰及びIEC1906賞の受賞
電気規格調査会
標準化推進室
 平成25年度工業標準化事業表彰(内閣総理大臣表彰,経済産業大臣表彰及び産業技術環境局長表彰)の表彰式が平成25年10月3日(木)に都市センターホテル「コスモホール」で開催されました。また,IEC(国際電気標準会議)からの「IEC1906賞」の表彰も同時に行われました。

 電気規格調査会からは,下記の方々が受賞されました。

平成25年度 工業標準化事業表彰 経済産業大臣表彰 受賞者
 経済産業大臣表彰は,工業標準化事業に率先して取り組み,その功績が顕著であると認められる者及び組織を表彰するものです。本年度は,個人20名,組織4団体の受賞です。

 本調査会の関係者個人1名及び1組織が受賞されました。

 ■個人

 豊田 充 (東芝変電機器テクノロジー株式会社)
 IEC/SC17A(高圧開閉装置及び制御装置)において開閉装置の標準化に長年にわたり貢献。近年では,国内外で建設計画が進められているUHV(超高圧)送電において電力系統の信頼性向上と品質安定のために重要な役割を果たす開閉装置について,日本発の技術に基づく高速接地開閉器(HSES)の国際規格化を提案しコンビナとして国際規格化を推進。また,世界的な再生可能エネルギーの利用増加を受け昨年度日本主導で設置したIEC/TC120(電気エネルギー貯蔵システム)において,国際副幹事を務め,TCの今後の活動方針等の検討をリード。

 ■組織

 一般社団法人 電気学会 電気規格調査会 UHV国際標準化委員会
 我が国が技術的優位性を持つUHV(超高圧)送変電技術を世界に展開していく中で不可欠な国際標準化活動のために,学識者・電力会社・メーカ等から成るオールジャパンの組織として発足。当該技術は多くの機器を含む電力システムとしての総合技術であるため,IECの上層組織及びその検討結果がIEC規格の根拠となることが多いCIGRE(国際大電力システム会議)に戦略的に働きかけ,両組織が協調した規格化活動をスタートさせることに成功。日本提案の「1100kV」が採用された標準電圧規格をはじめ,これまでに12の水平及び機器規格が制定されており多大な貢献。


写真1 経済産業大臣表彰受賞者
最後列左から2番目が豊田氏,同じく右から3番目がUHV国際標準化委員会・日委員長

 
平成25年度 国際標準化貢献者表彰/国際標準化奨励者表彰 産業技術環境局長表彰 受賞者
 産業技術環境局長表彰は,国際標準化活動を幅広い側面から支える関係者を表彰するものです。本年度は,貢献者表彰21名,奨励者表彰7名の受賞です。

 本調査会の関係者2名が貢献者表彰を受賞され,1名が奨励者表彰を受賞されました。

 ■貢献者表彰 受賞者

 井上 博史 (一般社団法人日本電機工業会)
 電力・産業機器に関するIEC規格の制定・改正作業に幅広く関わり,国際規格への日本の電機業界の意見反映に尽力。特に,IEC/TC22(パワーエレクトロニクス)においては,インバータなどの可変速駆動システム(PDS)のEMC規格の過度な試験レベルを見直し適正水準とするなど,数多くの日本提案を国際規格に反映。また,IEC/SC77A(低周波EMC),TC106(人体ばく露に関する電磁界の評価方法)等,機器横断的な分野においても,国内委員会幹事として日本意見の包括的な取りまとめに尽力。

 高橋 弘 (富士電機株式会社)
 IEC/TC22(パワーエレクトロニクス)において,インバータなどの可変速駆動システム(PDS)のプロファイル規格を日本メーカも容易に適合できるように海外の特定メーカが有利になる記述を規格案の段階で削除し公平性の高い規格としたり,パワーエレクトロニクス全体の電気安全規格に欧米と異なる日本の試験方法等を反映させるなど,幅広く貢献。また,IEC/TC77(電磁両立性)では,それまで認証機関によって試験方法が異なっていた機能安全部のEMC試験について,統一的な試験方法を提案し国際規格化を実現するなど多大な貢献。

 ■奨励者表彰 受賞者

 佐藤 以久也 (富士電機株式会社)
 IEC/SC22G(可変速電気駆動システム(PDS))において,国内委員会の幹事代理,エキスパートとして,PDSのEMC,機能安全,効率に関する国際標準化に参加。機能安全規格IEC 61800−5−2の改正作業においては試験レベルや試験項目について我が国の実情を考慮した意見を積極的に提出。また,効率規格の策定に当たり,欧米と異なる日本の測定方法の妥当性を各国に認めてもらうため,国内測定機器メーカに協力を呼びかけ勉強会を企画したり,データ収集キャンペーンを計画する等多大な貢献。


写真2 工業技術環境局長表彰 国際標準化貢献者賞及び奨励者賞受賞者
2列目左から1番目が井上氏,同じく左から8番目が高橋氏,同じく右から4番目が佐藤氏

 
平成25年度 IEC(国際電気標準会議) 1906賞 受賞者
 IEC1906賞は,電気・電子技術の標準化及び関連活動に大きく貢献したと評価されるIECの専門家(個人)に対して,IEC(国際電気標準会議)が授与するものです。

 本年は,世界25か国から165名が表彰され,我が国からは28名が受賞しました。

 本調査会の関係者5名が,IEC1906 賞を受賞されました。

 石上 忍 (独立行政法人情報通信研究機構)
 TEM導波管によるエミッション及びイミュニティ試験の基本EMC規格(IEC 61000−4−20)の策定に関する技術的貢献及び電磁環境の分類(IEC/TR 61000−2−5)に関する貢献に対する功績。

 井上 博史 (一般社団法人日本電機工業会)
 SC22G/MT7のエキスパートとしてIEC 61800−3の改正(特にイミュニティ試験,定義)に尽力したことに対する功績。多くの有益な提案を行い,TC22,SC22G及びSC22Hの他の文書にも貢献した。2009年には,成功裏に開催されたTC22東京総会の運営にも寄与した。

 白坂 行康 (株式会社日立製作所)
 MT 600076−3のコンビナとしてTC14の重要な規格である変圧器絶縁試験などの改定作業のリード,TC14代表委員としてACTAD(送電及び配電諮問委員会)との連携,そしてTC14として重要なCIGRE SC A2(変圧器)委員会との連携へのハードな対応と多大な貢献に対する功績。

 田中 康寛 (東京都市大学)
 パルス静電応力(PEA)法は絶縁材料中の電荷分布を測定する手法として多くの研究者に使われており、誘電体材料の電気的特性を理解する上で役立つ測定法である。その手法に関し先駆的なIEC/TS 62758(パルス静電応力(PEA)法による空間電荷計測装置の校正法)の作成に対する功績。

 戸田 克敏 (株式会社東芝)
 ガス絶縁変圧器IEC規格化の責任者であり、現在においても同規格の改定に従事するなど、TC14および変圧器産業に対する類まれなる貢献に対する功績。


写真3 IEC1906賞受賞者
2列目左から1番目が石上氏,同じく左から5番目が井上氏,同じく右から4番目が白坂氏。
最後列左から2番目が田中氏,同じく左から4番目が戸田氏。

 
一般社団法人 電気学会 電気規格調査会
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